INTERVIEW
- Q後期研修医先に鹿児島市立病院麻酔科を選んだ理由を教えて下さい。
- 専門研修プログラムを選ぶにあたって重視した事は、バリエーション豊富な症例を経験できることと、指導医の先生の人数が多いことです。鹿児島市立病院は様々な科が集まる総合病院であり、少なくとも専門医を取得するのには十分な症例が集まります。また、麻酔の方法や考え方は同じ症例でも麻酔科医によって様々であるため、できるだけ多くの先生から指導を受けたいと考えていました。市立病院は、経験を積まれた上級医の先生方が多く、どの先生も優しく丁寧に教えて下さり、初めて麻酔を学ぶにはとても適した施設だと思ってこの病院を選びました。
- Q尊敬する先生を教えて下さい。
- 部長の濱﨑先生です。生理学、薬理学に精通しており、患者さんの背景や病態生理学に基づき一人一人にオーダーメイドの麻酔をかけられる最高峰の麻酔科医です。私はとても尊敬しており、最終目標です。
- Q後期研修生活について教えてください。
- 簡単に1日の流れを説明します。7時45分からカンファがあります。その後、8時半から9時までの間に担当患者さんが入室されるので、それまでに麻酔の準備をすませておきます。麻酔の導入・覚醒時には必ず指導医の先生がつきます。入室後、麻酔導入を行い、麻酔がある程度軌道にのり患者さんの状態が安定すると、麻酔の維持は1人で任せられることが多いです。11時から12時ごろまでの間でお昼休憩があります。(当院は麻酔科医の数が豊富なため、お昼の食事休憩が交代で必ずもらえます。)担当となる手術は1日1〜2件となることが多いです。麻酔が終わって残った時間を、翌日以降の手術の予習や前日にかけた症例の経過をみたりします。
- Q研修期間中に、周囲のつながりから刺激を受けることはありましたか?
- 市立病院には、病院専属の先生だけでなく、定期的に鹿児島大学の医局からも配属されてきます。自分と近い年次の先生方も来られるため、同世代の人たちがどのくらいできるのかを知る機会となり刺激を受けています。また、色々な施設の先生方が来られる分、施設毎の文化や風習の違いというものを聞くことができます。
- Q現在、目標としていることは何ですか?
- まずはやはり麻酔科専門医を取得することです。日々の一例一例を大切に多くのことを学び、より安全で良い麻酔がかけられるようになりたいと思っています。いずれ自分も指導される側から指導する側になれるように、準備を進めています。それと、手術は麻酔科医だけでなく看護師さんなどの手術室スタッフがいてこそ成り立っているので、その人たちとの信頼関係を築き、連携して一緒に勉強していきたいと思っています。
- Qこれから市立病院麻酔科での研修を考えている方々へのメッセージをお願いします。
- この病院は麻酔科研修をしていくのに十分な環境が揃っており、とても素敵な病院だと思っています。一緒に研修する仲間が増えるのは大変嬉しいです。まずは是非見学しに来てください。そして一緒に研修していきましょう。
- Q指導医の先生や研修医同士など、院内の雰囲気を教えてください。
- 麻酔科の医局は仕事以外にプライベートの話も飛び交うとても雰囲気の良い居心地のいい場所です。最近僕は何故かお菓子作りにはまっているのですが、出来たものを医局に持ってくると皆がおいしいと喜んで食べてくれるので、やりがいが出てきました。(笑)
- Q尊敬する先生を教えて下さい。
- たくさんの指導医の先生がいらして考え方も選択する麻酔法もそれぞれです。全ての先生の良いところを吸収しようと考えているので、目標とする先生は全員ということになります。
- Q後期研修について教えてください。
- 初期研修医の頃は、指導医の先生に言われたことをやることが殆どでしたが、後期研修になり自分で考え自分で動くことが多くなりました。自分の思い通りにいかなかった時に責任を感じ落ち込むこともありますが、それ以上に仕事にやりがいを感じることの方が多いです。
- Q研修期間中に、周囲のつながりから刺激を受けることはありましたか?
- 当院の救急センターで3年半勤務した後、現在麻酔研修を始めて1年半経ちます。麻酔研修を始めて7か月後に後期研修医として入職された秋山先生とは医師としての経験年数は私の方が上ですが、麻酔科医としての経験は同じくらいであり、秋山先生が麻酔科医として成長していく姿を見ると、自分も負けていられないと感じます。
- Q指導医の先生や研修医同士など、院内の雰囲気を教えてください。
- 麻酔科の医局には指導医の先生方が多くいて、症例の相談から診療中に悩む些細なことまでとても相談しやすい環境です。専攻医も数名おり、それぞれが経験した症例について共有したりします。ママさん麻酔科医の先生方がとても明るく優しくて、悩んだ時はいつも相談に乗ってもらっています。
- Q後期研修について教えてください。
- どこの科に進んでもそうだと思いますが、最初の1年間は精神的にも体力的にも辛くなる時期が多かったです。先生方に時に厳しく、時には楽しく指導していただき、やっと1年たって、少しずつ麻酔管理と麻酔科医としての生活に慣れてきた実感があります。
- Q後期研修医としての活動において、最も印象に残った瞬間や充実感を感じた瞬間は何でしたか?
- 麻酔科医は実際に患者さんと関わる時間(寝ている間はずっと付きっきりです)は少ないので、患者さんからいただく言葉はとても励みになります。先日、帝王切開の麻酔を担当した後、術後の様子を伺いに患者さんの病室に伺った際に、「最初の注射から全然痛くなかったです。先生で本当によかった、ありがとうございました。」と、泣きながら言っていただきました。手術は人生の一大イベントだと思うので、痛みだけでなく患者さんの不安感にも寄り添える医師でいたいと改めて思いました。
- QICUカンファレンスでのプレゼンを通じて、自身が成長したと感じる点は何ですか?
- ICUにいる患者さんたちは沢山の疾患と社会背景を抱えていると思います。私は日頃麻酔診療をしていてICUには当直として関わります。主治医としてそれらの治療方針を決めていくことはできませんが、当直を担当する時は、なるべく「1つでも前進できる選択」ができるように気をつけるようになりました。最初はプレゼンも苦手でしたが、気をつけることを意識したら下手なりに慣れてきたかもしれません。(笑)
- Qこれから市立病院麻酔科での研修を考えている方々へのメッセージをお願いします。
- 私はこの鹿児島市立病院の麻酔科ホームページを拝見して見学に行こうと思いました。少しでも興味があれば、百聞は一見にしかずですので、一度見学にいらしてください。
- Qペインクリニックについて教えてください。
- ペインクリニックは、麻酔科のサブスペシャリティの一つで痛みから患者さんを診ていく診療分野です。診断から治療までを一貫して行うので、主治医としてやりがいがあります。鹿児島市立病院のペインクリニックは、現在外来診療中心ですが、超音波ガイド下ブロック、透視下ブロック、高周波熱凝固装置などを用いた一般的な治療は十分可能なレベルにあります。
- Q鹿児島市立病院麻酔科の魅力は?
- ペインクリニック、ICU、麻酔、一つの病院のなかで本格的に勉強することが出来ます。診療科も多く、他科への相談や他科からの紹介などでより疾患について深く勉強することが出来ます。規模が大きい病院ですが、各科との垣根はなく風通しの良い恵まれた環境にあります。
- Q市立病院のペインクリニックではどんなことが勉強できますか。
- 現在、ペインクリニック学会専門医が2人と専門医へ向けて勉強中の医師が1人います。患者さんは延べ人数で月に170~190人、帯状疱疹、脊椎疾患、三叉神経痛、がん、診断の難しい慢性疼痛など疾患は痛みを伴う病気多岐にわたります。できる限り、標準的な治療を心掛けるため、方針に大きな過ちがないかを学会発表などでフィードバックをしています。実際の診療を通して診断・治療を勉強していきます。
- Q市立病院の研修医の先生についてはどのように思いますか。
- 病院にいるうちに経験症例数はみるみる増えていきますので、手技や実務に関しては確実に身についているように見えます。新しいことは、むしろ研修医の先生のほうが早く習得されるので、自分たちも簡単に追い抜かれないようにと気を引き締めています。仕事が終わってからのレクレーションなども結構されていて、研修医の先生たちは意外と密にコミュニケーションとっているのだな、と思います。
- Qどのような研修医の先生に来てほしいですか。
- 麻酔、ICU、ペインクリニックどれでも、興味があれば、ぜひ来てほしいです。百聞は一見に如かずで、多くの症例から学ぶことは、教科書や書物などで学ぶことより何倍も身につくと思います。ここは、一つの施設で多くのことを学ぶことができる貴重な病院だと考えています。いろいろな方面でスキルアップを希望される先生には特におすすめできます。
- Q子育てとの両立で大変なこと、両立の秘訣を教えて下さい。
- 夫婦とも実家が県外で、夫も単身赴任中なので、家族に頼れないこと。家事育児に孤軍奮闘しています!ですが、勤務時間(今は定時勤務+月2回の土日の日直)や子どもの病気・学校行事での休みなど柔軟に対応していただいています。一人で抱え込まないのが両立の秘訣だと思います。
- Q鹿児島市立病院麻酔科の魅力とは?
- 人。部長をはじめスタッフから研修医まで、人に恵まれた環境だと思います。麻酔研修先として豊富な症例とバリエーション、というのは他にもあるでしょう。プラス働きやすく恵まれた職場環境は大きな魅力です。
- Q育児中の医師にとって麻酔科は働きやすいというのは本当でしょうか?
- 「麻酔科だから」女性が働きやすい、ということはないと思いますが、「麻酔科は他科に比べて出産育児中の女性医師の勤務体制が整えられてきたから」出産育児を選ぶ女性医師にとって働きやすいと思います。出産するまでは子育てがこんなに大変だとは知りませんでしたが、麻酔科医を続けていられるのは、周りの先生方のご理解とご協力があってこそです!
- Q医師として忘れられないエピソードがあれば教えてください。
- 初めての麻酔。元気な若い女性の耳鼻科の麻酔でしたが、今と比べると、それはもう本当に納得のいかない麻酔で、もう二度と患者さん(麻酔で眠っていますが)にこんな思いをさせてはいけない!と思いました。今までいろんなことがありましたが、上手くいかないとき、落ち込んだとき、そのときの気持ちを思い出して、また頑張ろうという気持ちになります。
- Qこれから市立病院麻酔科での研修を考えている方々へのメッセージをお願いします。
- 鹿児島市立病院麻酔科はいま、とても勢いがあります!麻酔科医不足と言われる中、スタッフも年々充実してきており、日々進化中です。麻酔科医を目指す方も、いずれは他科を目指す方も、ぜひいらしてください!一緒に成長していきましょう。
- Q濱﨑先生率いる麻酔科はどんなところですか?
- 麻酔科医がICU管理も重要な業務としている点が当院の大きな特色です。ともに鹿児島の麻酔・集中治療分野の開拓者的存在である麻酔科部長の濱﨑先生と集中治療部部長の仲村先生がタッグを組んでいる当院は「周術期管理に長けた麻酔科医」を育成するには申し分ない環境といえるでしょう。
重症例の術前評価〜手術麻酔〜ICU管理や敗血症を含む重症疾患の治療を他科とのコミュニケーションを図りながら進めることで、皆がマネージメント力やバランス感覚のある麻酔科医に成長することを目標としています。 - Q研修医を指導する際に心がけていることは?
- 麻酔の面白さ・奥深さを伝えたいと思いながら、麻酔管理を行う上で重要な核となる考え方と自分のこだわりをそれぞれ教えています。ちょっとした手技のコツ、実際の急変時を想定したシミュレーション、なるべくシンプルな指導を目標にしています。研修医の先生の「へぇー!」をなるべく獲得できるように頑張りたいと思います。
- Q現在、目標としていることは何ですか?
- 私は現在、平日は週4日ICU業務、週1日麻酔のスーパーバイザーをしています。重症例のICU経過を若手の麻酔担当医とも共有し、麻酔・ICUの架け橋になりつつ、次の麻酔に活かせる知見が得られるように臨床研究にも力をいれたいと考えています。昔、ある麻酔科の上司が「麻酔科医はラーメン屋さんに似ているよね、皆ラーメンの味付けは違うけど、旨いラーメン(患者満足度の高い周術期管理)を目指しているのは一緒」と。シンプルだけど、行列のできるラーメン屋(外科医にもリピーターになってもらえる)を目指して、精進したいです。
- Q医師として忘れられないエピソードがあれば教えてください。
- 麻酔科2年目で主治医になった重症急性膵炎の40代女性です。患者さんのお子さん達はまだ学生でした。循環を維持するための大量輸液、肺水腫から呼吸不全、腹部コンパートメント症候群、腎不全、重症感染症、DIC、別人のようにむくんだ顔….。その当時、一緒に患者さんを診てくださったのが濱﨑先生でした。集中治療の結果、驚くほど患者さんの全身状態は改善し、無事退院されたのですが、その数年後、社会人になったお子さんと街でばったり会い、「いまでも母は元気にしている、あの時は本当にありがとうございました」と伝えられた時は今までで一番感激しました。
- Qどんな人に来て欲しいですか?
- 全身管理に興味がある方は是非、当院での後期研修をお薦めします。テクニックと人情味に溢れた心臓麻酔スーパーバイザー(岩川先生)も当院の魅力の一つですので、心臓麻酔に興味のある方も是非!各診療科と協力し、周術期のよりよいマネージメントを行える麻酔科医を一緒に目指しましょう。
- Q麻酔科医師になるきっかけは何でしたか?
- 以前は救急医として働いていました。大学病院のICUで研修する機会があり麻酔科出身の先生方に指導していただきましたが、同じ全身管理を行う上でも救急医と麻酔科医で視点やアプローチ、管理方法等少しずつ異なることを知り面白さを感じました。その経験から、麻酔科医として今一度全身管理を体系的に習得したいと考えるようになり、やるからには専門医取得を目指したいという思いもありましたので、当院の専攻医プログラムに応募しました。
- Q麻酔科医師としてのキャリアの中で、最も印象に残っているエピソードはありますか?
- 臨床麻酔とは少し違いますが、脳死下臓器摘出術の全身管理を担当させていただきました。麻酔科医として、また救急医としても携わることのできる機会は数少ないため、貴重な経験となりました。
- QJB-POTとJ-RACEという試験について教えてください。それぞれの試験の難しさや合格率についてお話いただけますか?
- 合格率はいずれも約60%程度のようです。試験勉強は主に学会主催の講習会受講や問題集を解きながら参考書をチェックするという流れを繰り返し行いました。日々臨床麻酔や当直等があるためまとまった時間を取ることが難しく苦労しましたが、疑問点は上司に相談し、なるべく臨床に結びつけて考えるように心がけました。当院では先天性心疾患の手術が定期的にあるため実際の麻酔経験が特に役に立ちました。結果的に麻酔内容としては変わらなくても、そこに至る思考の過程が変化したように感じます。試験後も個々の症例において、身につけた知識をアウトプットしていくことを意識しています。
- Q麻酔科医師としてどのような活躍をしたいですか?
- 確かな知識と技術を身につけ、さらにアップデートを積み重ねていくことで、患者様に安全かつ快適な麻酔を提供できる麻酔科医を目指していきたいと思います。
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KAGOSHIMA CITY HOSPITAL
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